不器用
甘えたいと思っても 縋りたいと思っても
つい我慢してしまう自分がいて
いつからか
上手に人に甘えることができなくなっていた
それを指摘されて 長い付き合いを無かった事にされたり
そこにつけ込んで 同僚に恋を奪われても
自身ではどうしようもない事だと思っていた
惨めさではない 悔しさではない 情けなさではない…
考える術さえ忘れて その場に座り込んでいた その時
「筋の通らない手段を使い己の我を通すような者の事を
真剣に考える必要はない。 そして
その為に自分を貶めたり悲観したりして泣く必要もない。
気にせず ありのまま堂々としていればいい」
黙って話を聞いていたその人は、しっかりとした口調でそう言った。
今日 今このタイミングで この人に出会わなかったら
きっと 今のように
こうして誰かにそれを話すことも 冷静に色々と考える事も
涙が乾くことも 微笑みを浮かべることもなく、
ずっとこのままの自分で ずっと
1人…だったかも知れない
だけれども…これ以上 どうやって心を進めれば良いのか…
もう…考えることもしたくない
人を疑うことは簡単でも 人を信じることの難しさを
あらためて知った
一生懸命に幸せを追いかけていたはずなのに
もう後ろ姿さえ 見えなくなっていた事に
やっと 気づいた
幸せって 途轍もなく遠いものなんだな…