2023-05-22 明日のために それは静かに 私の前を通り過ぎた そっと手を伸ばすと 目には見えない それは けれども わずかに 額にかかる髪を揺らし 指先に気配を残して 細かに震える小枝の余損と 葉擦れの音が 遠くなっていく その後ろ姿を追うように 私は視線を向けた 多分 彼(彼女)は 次の尾根を目指しているのだろう また何時か あの風に出会えるのだろうか 私も帰ろう 日が沈む前に 2023